デプリ取り出しは幻想か?

福島第一原発や東電廃炉資料館見学前に、事故で溶け落ちたデプリを取り出す研究を実施している日本原子力研究開発機構(JAEA)の廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)にデプリの取り出しについての疑問を質問してみた。

政府や東電が言う汚染水海洋放出は「廃炉の為には避けて通れない」。更に取り出したデプリを一時保管する為の敷地が必要なので、これ以上汚染水を貯めるタンクの新たな設置ができないというのが彼らの説明に合理性があるのかの確認の為でもある。

しかしながら今日現在、取り出したデプリの保管方法さえ決まっていない。東電が出すロードマップにはあいまいで、不透明部分が多すぎる。最後の1gまでのデプリ取り出し完了など40年でできようはずがない。廃炉は更地を目指すという東電社長。デプリを取り出し、建屋を壊し、原子炉を壊し、更地にする・・・溶け落ちたデプリは原子炉にもこびりついて一体となっているはずだ。今すぐに汚染水海洋放出する合理性・妥当性は見当たらない。

デプリ取り出しの方法は、冠水方法には汚染水問題等のリスクがある為、気中オプションの方法が有力のようだ。最終判断は東電が実施する。但し、気中オプション採用時にダストが空気中に放出される問題、再臨界の可能性の問題等、まだまだ多くの解決すべき課題が残っているようだ。

JAEA/CLADSのHPには以下のように記載されている。
『福島の環境回復と福島第一原子力発電所の廃炉に貢献することは、機構の経営上も重要なミッションと位置づけられており、機構の総力を挙げて推進します。 これまでと同様に、科学的な根拠に基づいた研究成果を廃炉の現場に実装することを目標とし、環境回復や廃炉の確実な進捗と安全性確保に向けた研究開発に取組みます。

 特に、燃料デブリの「試験的取出し」、「段階的規模の拡大」に向けた準備として、燃料デブリの性状や炉内状況の推定等の研究開発を継続して実施します。 また、作業安全の確保や被ばくリスクの低減に資する分析測定装置の開発を着実に進めます。』とある。

詳細は以下のHPをご覧ください。
https://clads.jaea.go.jp/jp/

東電廃炉資料館:
https://www.tepco.co.jp/fukushima_hq/decommissioning_ac/



【JAEA・CLADSへの質問】

1.デプリの本格的取り出しはいつ頃から始められますか??
2.デプリの取り出しは1日何キロ(何トン、何グラム)を目標としていますか?
3.デプリ取り出し完了はいつ頃を目標にしていますかか?
4.880トンもあるデプリの取り出しは1gも残さず取り出せますか?
5.1gも残さず取り出す為にはどのような手法を考えていますか?

6.廃炉は30年から40年としています。既に冷温停止から13年になろうとしています。残り期間は17年あるいは27年です。そこまでに廃炉は完了しますか?デプリを取り出し後に、建屋を壊し、更地にするにはさらに5年~10年はかかるでしょう。残されたデプリ取り出し期間は7年から17年程度しかありません。可能でしょうか?

【JAEAからの回答】

×× × 様

今般は当機構のホームページを通じてお問い合わせを頂き、ありがとうございました。

さて、1Fの廃炉の計画、方針の策定は、国や東京電力が主体となり取り組んでいます。また、NDFを中心に燃料デブリの大規模取り出しに向け(技術戦略、)検討が進められています。

JAEAでは、燃料デブリの「試験的取出し」、「段階的規模の拡大」に向けた準備として、燃料デブリの性状や炉内状況の推定等の研究開発を実施しており、廃炉作業における安全の確保や被ばくリスクの低減に資する分析測定装置の開発を進めています。

ご質問いただきました事項につきましては、国の策定方針に関するものがあり研究開発法人のJAEAがお答えすることは致しかねます。何卒ご理解くださるようお願いいたします。

今後もJAEAは、「廃炉なくして福島の復興はない」との思いで廃炉に取り組んでまいりますので、今後とも原子力機構の活動に対するご理解とご支援をよろしくお願い申し上げます。

なお、実施しております福島の環境回復と福島第一原子力発電所の廃炉の研究開発については、JAEA福島廃炉安全工学研究所のホームページにございますので、下記のURLにてご紹介させていただきます。

https://fukushima.jaea.go.jp/

原子力機構 広報課


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